てきとう

てきとう

Insurmountableやった感想

ヘックスタイル*1で表現された山を登っていく登山ゲーム。下山もあるよ!

執筆時点では75%OFFで675円。

全体

v2.0で日本語化済み。現時点でプレイ時間は32時間。675円なら十分「おすすめ」の部類かなぁ…うーん。

基本的に、移動ごとに減っていく各種リソースをランダム配置されたイベントを行うことで補給し、管理するゲーム。イベントは完了時点で消滅する。 「今はやめておいて後から…」みたいなことはできないし、やる意味も薄いので、基本的には「片っ端からイベントマスを踏みつつ山に登って降りる」だけのゲーム…なのだが、それができれば苦労しない。

美麗なグラフィックは雰囲気が良く、リスクリターンを考えて動く必要のあるゲーム性、ランダム性を考慮して戦略的に動く必要のある点、ギリギリなんとかなりそうなリソース管理は面白いが、運要素、マップ生成やグラフィックデザイン、UIでストレスのかかる部分があり、全体的には微妙。プラスも多いが、マイナスも多く、粗削りな印象。

良い点

項目で書きだすと思ったより少ないな…

絶妙なゲームバランス

圧倒的にこれ。

一瞬で追い込まれたり、もう駄目そうでもなんとかなったり、全くリアルタイムではないのにスリル満点なのはまさにローグライク*2と言ってよい。まぁダメなときはどうやっても駄目だったりするが、それもまたローグライクだよね。

最低難易度ではまず死なないが、それでもリソースが尽きてHPが減り始めてもうダメかも、な場面には遭遇できる。

ハードは初回クリアまでに2回死亡。一度は復活できた。ノーミスは難しそうだが、そうでなければクリアはある程度できる。

Insurmountableは未プレイで分からないが、ハードの感触からすると私の適当プレイだと無理そう。

グラフィック

とにかく雰囲気が良い。ゲーム開始直後には、山登り直前の、見たことのない景色を見れる期待のワクワク感みたいなものが実際の1/10くらい得られる(個人の感想です)。

楽しいリソース管理

ゴリゴリ減っていくエネルギー、夜に目を離すと一瞬でなくなる体温、イベントでごっそり減る正気度、ふと気がついたら減っている酸素…

パーマデス

一度キャラが死ぬと、その周では再度使うことはできない(一応ハードでは1回だけ復活が可能だった)。

特にリソースが減っていくストレスがパーマデスによって強化される。しんどいが楽しい。

微妙な点

全体的に、運の要素が強めのゲームバランスなのと、UIに問題がある。

リプレイ性がある

「リプレイ性が高い」ではない。一応全キャラクリアとハードで4週はしたけど、5週目はもういいかな、というレベル。周回前提っぽい作りだが、リプレイ性「がある」以上にはならない。本当に微妙。

移動スピードが遅い

毎回の移動が長いわりに最速にしても遅い。最初は良いのだが、プレイ時間の6割は延々移動アニメーションを眺めるだけになる。周回するゲームシステムになっていることを考えると、あまりにも遅い。

アイテムを持ち越せない

メインのステージ3つと、サブステージが15個くらいなのだが、同じステージはリプレイ不可、アイテムもステージ間で持ち越せない。

各ステージで稼いだ経験値、それで強化した能力だけ持ち越せる。

一応装備は最終的にほぼ全種からコスト上限までの量を持ち込める*3が、どうせ持ち込めるアイテム量に制限があるなら、死のリスク負いつつ低層でアイテムかき集めて難しいステージに挑戦、みたいなパターンの方が合ってそうな気がした。

持ち込める量が持ち歩ける量よりだいぶ少なく、これも結構ストレス。山登りなら装備整えるところもやりたい。

運次第で全く変わる難易度

良い点で述べたのと表裏の関係。そこらのローグライクよりプレイヤースキルでのリカバリーが難しく、いかんともしがたい状況に陥りがち…なのだが、イベントでアタリを引いて打開されたりする。リソース管理の皮をかぶった運ゲー

大自然の前には人間など無力である」ということで、ここはひとつ。

生成されるマップ次第

同じマップ難易度でも直登して一瞬で終わり、だったり、峻険な地形だらけでたどり着ける気がしないまま遭難したり。

特に引き返す必要が出ると難易度が爆上がり。基本的にリソースが得られる可能性のあるのはイベントマスのみであり、当然踏んだ方が有利である。ということで、戻り道は補給のない死への行軍になる。*4大体の場合、下山目標地点がスタート地点の反対側に設定されるので大丈夫なのだが、スタート地点と同じ側になると補給ほぼ無しで降りることになりがち。

引けるアイテム・スキル次第

このゲームは特に必要な時に必要なものを持っていないと死ぬ。この点についてはクラフトである程度なんとかできる科学者は安定する。

さらにレベルアップ時のスキル選択もランダムな3つから選ぶ形式で、状況にマッチしたものを引けると強いが、本当に噛み合わないものを連続で引くと一気に死が近づく。

なお、スキルそれぞれにも結構強弱ある気がする…というか、そもそもリソース全てがかなりギリギリなので、デメリットのあるスキルは基本選べない…

UIが残念

「一時的効果」(バフ/デバフ)の効果時間が見づらい

デフォルトでは「なんらかの一時的効果が発生している状態」を示すアイコンのみが表示される。発生している一時的効果が一つもない場合は何も表示されない。 そのアイコンをクリックすることで、個々の効果の残り時間が表示される仕様。

連続してバフをかけたいようなギリギリのシチュエーションで特に問題で、バフが切れる瞬間を見逃して計算がずれたりする。*5

カメラの操作性が悪い

恐らく意図的に見える場所をキャラクターから見える範囲に制限しようとしており、それはよいのだが、そうではない他の点で残念な部分が見られる。

まず、カメラと地形に当たり判定が存在する。基本的になるべく周囲の情報が見えた方が有利なので最大限引いた状態でプレイしていたが、カメラが地形にあたるたびにズームが変わる。山なので開けた方を見ようとすると当然地形にぶつかるし、山なので地形がデコボコで、動かすたびにズームがガクガク変わる。これなら最初からズームなしか一人称視点の方が良かったのではないかと思う。

また、キャラクターとカメラの間に地形(山頂や小さいピーク)が入り込むと、キャラも視点方向の景色も全て手前の地形に阻まれて見えなくなってしまう。そしてまた山なので当然そういう地形はそこら中にあるので頻発する。

タイルが通行可能かどうか見分けにくい

全体的に、もうちょっと「通れません」と主張してほしい。

基本的に通行不可タイルと通行可能タイルの見分けがつきにくい。特に雪タイルは遠くから見ればただただ白いだけなので全く見分けが付かない。いやまぁ現実もほぼ白銀の世界ではあるんだろうけれども…

さらに、見分けやすいものでも通行不能タイルは「単にガレてる*6」「木の隙間通れそう」という見た目でも当然全く通行不可であり、特に通常タイルで恐ろしい高さの垂直な壁を難なく登っているのを何度も見ているため、「いやお前素手で壁50m以上登れるのに胸の高さの岩は無理なのかよ」と非常にストレスを感じる。そういうものではあるんだけど、見た目って大事だなぁ。

移動目標の順番を変更できない

移動目標に関して可能な操作は以下の二つのみである:

  • 「設定済みの最後の移動目標の後に新規の目標を追加する」
  • 「設定済みの最後の移動目標を削除する」

ということで、例えば「緩やかなポイントを通るルートを選択して山頂に向けて移動している途中で、真横にイベントタイルを見つけた」というシチュエーションが発生した場合、

  1. 今まで設定した全ての移動目標を削除する(5か所なら右クリック5回)
  2. 新規の目標タイル(イベントタイル)をクリック
  3. 1で削除した全ての目標を再度設定しようとする
  4. 今の場所からだと元の目標が稜線の裏に隠れてしまい設定できない
  5. 仕方ないので稜線上の適当な場所を再設定して移動
  6. 登ったところが悪く、移動不可タイルに阻まれて一度降りてからでないと元のルートに戻れない*7

ということになる可能性がある(というかなった)

遠くの地点も移動目標に指定できる

目標地点のマスさえクリックできれば自動で最短ルートを選択してしまうため、マッピングの試行錯誤というゲームの面白さを損なっていると思う。 逆説的に、目標地点がクリックできない場合は試行錯誤が楽しい…のだが、大抵窪地でカメラが荒ぶるし、行ったり来たりになるため前述の他の緒問題で難易度が急上昇する。

まとめ

  • 山登りの雰囲気がよい
  • 程よく死ぬがギリギリ切り抜けられる、絶妙なバランス
  • 周回前提だが一周が長い
  • 運ゲー
  • カメラ、見た目、操作性でイライラするポイントが多い

まぁ暑い夏にやるにはオススメじゃないでしょうか。とりあえず冬にはやりたくない。

*1:hex tile。 hexagon tile。一応。

*2:色々めんどくさくなってしまった単語だが、当ブログでは基本的にNethack、DCSS、変愚あたりを指す

*3:アイテム経験値を貯めてアイテムレベルを上げると持ち込める種類と量が増える

*4:イベントがポップすることもあるようだが、いかんせん数が少ない。少なくとも降りるルート上付近にポップした経験はない。

*5:まぁそんな状況になっている時点で戦略的に失敗していると言えなくもないが、クライミングロープとか結構連続して使いたかったりする。

*6:大き目の石/岩がそこら中に転がっている地形のこと

*7:1の時点で元のルートは消えているので、4で正解のルートを指定できない